オーナー視点の注文住宅おすすめ情報

工務店で新築注文住宅(マイホーム)を建てる上20社以上のハウスメーカー、工務店を見て回ったり、100時間以上かけて学んだ建築知識や体験談を綴るブログ

注文住宅・戸建住宅で耐震等級はいくつ必要?

安心、安全、耐震、制震、免震、○○構造、耐震等級、耐震等級3相当などなど、住宅展示場でハウスメーカーを回っていると、この辺りの言葉を聞くようになりますが、何を選んでよいやら基準が分からずに困った記憶があります。


確かに、今後首都直下型地震南海トラフ地震が起こる可能性は高いと言われており、しかもそれが起こる可能性は年々高まっているなか、建物の安全性は、注文住宅や戸建て住宅でマイホームを手に入れる上では非常に重要なポイントです。


そこで、今日は家の丈夫さはどのくらいあればよいかについて、20社以上のハウスメーカー工務店を見てきた施主としての答えをお伝えします。

耐震等級

結論から言うと、耐震等級3です。


なぜそう考えるようになったのか?
また、ハウスメーカーの営業はこの安全基準についてや、お客さんを安心させるためのトークは得意なので色んな話をされますが、営業トーク見極める上での注意点などについてをお伝えできればと思います。

耐震等級とは?

地震に対する強度を示す指標で、過去の地震に対する様々な情報から基準が定めれらていて耐震等級は1~3まであります。
耐震基準は大きな地震が起こるたびに基準が設けられ、1978年に起こった宮城県沖地震を受けて1981年に新耐震設計基準が設けられそれより以前に建てられた建物と比べると耐震性能が大きく向上しました(基準をクリアしないと自治体からの承認が下りなくなった)。



その後も1995年に起きた阪神・淡路大震災を受け、新耐震設計基準では倒壊する可能性のある住宅が多いため、2000年に建築基準法が改正(「2000年基準」と言われたりしています)され、現在は耐震等級1として定められている耐震基準を義務化するようになりました。

ちなみに1981年や2000年の基準制定前に建てられた家は耐震改修工事を行う義務があるわけではない(自治体によって半額補助などの制度を設けているところはある)ため、耐震基準を満たしていない古い住宅やアパートはたくさんあります。


そう考えると、私が注文住宅を建てる前に住んでいた木造アパートは相当古かったので、この辺りの耐震基準とか満たしてなかったんだろうな。。。


耐震等級1とは?

耐震等級1は法律で定めれれる最低限の耐震性能を満たすことを示すもので、数十年に一度起こると想定される震度6~7程度の地震に耐えうるとされています。
ただし、2016年に発生した熊本地震のように、短い時間で複数回の大きな揺れを伴う自身があった際には、耐震等級1の基準をクリアした多くの家が倒壊もしくは激しく損傷して住める状態ではなくなったため、熊本地震規模の地震を想定する場合は、この耐震等級では不十分であると思います。

「2000年基準」も3~4割大被害、筋かい破断など多発 :日本経済新聞

耐震等級2とは?

耐震等級2は耐震等級1の1.25倍の強度があることを示しています。
上記の記事では耐震等級2の家でも一部被害があったことの紹介がされていますが、記事をよく読んでいくとほとんどの耐震等級2の家では倒壊といった被害は出ていないことが書かれています。また他の情報を見ても耐震等級2で倒壊した家は少ないようです。


耐震等級3とは?

耐震等級1の1.5倍の強度があることを示していて、現在の法律が定める最高等級です。
国土交通省の記事を見ても、耐震等級3の住宅では、熊本地震の際にもほとんど被害が報告されていなかったことが分かっています↓
https://www.mlit.go.jp/common/001155087.pdf


家が倒壊しないこととその家に住み続けられるかは別の話し

では、なぜ私が耐震等級2ではなく耐震等級3にすべきと考えているかというと、耐震等級とはあくまで、地震で建物が倒壊せずに、その家に住む人の人体に影響を及ぼさないかどうかが基準であって、地震の後にその家に住み続けられるかどうかは別の話しだからです。

地震で倒壊や半壊まではいかなくても、柱がゆがんでしまったら、中程度の地震でも次の地震が来た場合に家が倒壊する可能性がありますし、雨漏りをするようになったら生活に支障がでますし、骨組みが濡れてしまったらどんどん建物の構造が弱くなります。

また、東日本大震災熊本地震の例を見ても、一度に多数の住宅が被害を受けるため、修理もすぐにはできない可能性が高いです。
そう考えると、例え地震で倒壊や半壊をすることを防げたとしても、その家に地震が起こったとしても長く住み続けたいと考えた場合には耐震等級3を確保すべきだと考えています。


「相当」という言葉には騙されるな!!

ハウスメーカー工務店を回っていると時々

うちは耐震等級3相当の強度があるので大丈夫です

といった説明を受けることがあります。

この「相当」とは、要は建物ごとに構造計算をきちんと行っていないということです。

建物の耐震性能は、家ごとの間取り設計や、窓の配置や大きさ、階数、屋根の素材などによって柱の位置、壁量などが変わりますので一軒一軒異なります。

なので、たとえモデルハウスなどで同じ工法で建てた家で構造計算をして耐震等級3であることを証明していたとしてもそれはあくまでその建物に対する構造計算であって、私たちが建てる建物の構造とは関係ありません。


建築家であればそんなことは分かっているにもかかわらず「耐震等級○○相当」という言葉を使ってお客に安全性を説明しようとするハウスメーカー工務店は、知識のないお客に対して建物の安全性をごまかしているようなものですので、あまり信用しないことをお勧めします。


耐震実験は意味があるのか?

テレビCMなどでも大手ハウスメーカーが耐震実験をして「安全性を確認しています。」といったPRをしていますが、それ自体にはそこまで大きな意味はないと思います。

先ほども書きましたが、一棟一棟その家ごとの間取り設計によって、構造的な強さも異なり、壁や柱の数も異なるので、結局はその家の間取りごとに構造計算をしないと、その家の建物の強度は分からないからです。

だから、いくらハウスメーカーに都合のいい間取りの家で耐震実験をしていたとしても、自分が建てる家の間取りで耐震実験をしていないのであれば、耐震実験をしていても自分の家が安全とは限りません。

ですので法律で定める耐震性能について、きちんと計算をして自分の家の耐震性能の証明をしてもらえるかの方が、耐震実験をやっているか否かよりもはるかに重要です。


制震、免震、○○構造について

耐震基準以外にも、制震、免震、○○構造といった説明で、地震に対する安全性の説明を受けることがあります。
安全性にどこまで費用を掛けるかはそれぞれの価値観次第ですが、当然ですが費用が掛かりますので、耐震等級3をまずは確保できているのであれば、個人的には優先順位は下げて良いと思います。

それよりも、以前の記事で書いているように、機密性能を高めるといったことにコストを振り分けるほうが、住宅の構造を長持ちさせることができ、建物の安全性を長期にわたって保てると思いますし、健康的に暮らすためにも優先順位が高いと思います。


ではでは長くなってしまいましたので今日はこの辺で。
ではでは




参考URL:
地震のたびに強くなってきた耐震基準。旧耐震と新耐震をおさらい | スーモジャーナル - 住まい・暮らしのニュース・コラムサイト

「新耐震」でも倒壊の恐れ 2000年5月以前の木造住宅

耐震等級とは?地震に対する段階別の性能と知っておきたいポイント | ジャパンホームシールド|住まいの安心研究所