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工務店で新築注文住宅(マイホーム)を建てる上20社以上のハウスメーカー、工務店を見て回ったり、100時間以上かけて学んだ建築知識や体験談を綴るブログ

一条工務店 ハウスメーカー回想録その13

いよいよこのシリーズもラストを迎えました

ハウスメーカー回想録ということで、話を聴いたハウスメーカー工務店のすべての会社の資料を取っていたり、メモを取っているわけではですが、覚えている限りのハウスメーカー工務店を見て回った回想録を書いていきます。
※すべて私の独断と偏見です。

今回は、

一条工務店 さんについて

www.ichijo.co.jp

【特長】

性能で右に出るものなし

断熱性能、機密性能、耐震性能、防蟻、換気システム、窓、外壁材、ハニカムシェード(高性能なカーテン)などハウスメーカーでは他の追随を許さない圧倒的な差があります。

断熱性能はUa値0.25(全地域)、C値は0.59です。
防蟻のため、木材に防腐防蟻材を注入していて50年間はメンテナンス不要。
窓はオリジナルの3層窓で防犯窓(引き違い窓のみ)
外壁材は汚れが付きにくいハイドロテクトタイルを使用
と、非のつけようがありません。

さらに、最近発表された世界初の耐水害住宅は、たとえ浸水するほどの水害があったとしても、室内に水を侵入させない画期的な技術で、水害の心配がある地域であれば非常に魅力的な商品だと思います。

営業体制のチカラ

正直申し上げて、一条工務店の営業さんは能力が高いかと言えば、高くないです。でも、一条工務店は注文住宅の受注実績で一位を獲得していて、売り上げを伸ばしています。

それは、以下のような営業力がなくても売れる仕組みを作り上げていくらです。

①性能で勝負
性能は数字で示せますので、特に特別な営業トークがなくてもそれだけで説得できます。また、断熱や気密については他のハウスメーカーが語ることは少ないため、一条工務店の営業としては、断熱と機密のことについてお客さんに教えることができるため、よりお客さんの心を掴みやすい状況にあります。


②ツールの充実
パンフレットやお客さんに貸し出すタブレットがあり、営業が語らなくてもお客さんが勝手に理解を深めてくれます。


③住まいの体験会バスツアーの充実
朝からバスに乗って、一条工務店の機能が体験できるショールームに行き、お弁当も用意してくれて、オプションもプレゼントでもらえる抽選会があり、子どもにはおもちゃのお土産が付く至れり作れりのツアーがあります。
正直営業の役割はこのツアーにお客さんをいかに誘導するかという誘導員です。

このツアーに参加してもらいさえすれば、一条工務店の魅力やその背景にある技術力を、お客様に身を持って体験してもらえるからです。


【感想】

注文住宅ではありますが、家を建てるというより家を買うに近い

正直、営業力はなく、希望を言ってもあんまり反映されないし、設計力も斬新なプランを提案してくれるわけでもなく、オプションも豊富ではありません。(「一条ルール」と俗に呼ばれている設計上の制約が多く存在し、その範囲内でしか基本的に設計ができません)

一条工務店が用意したオリジナルパッケージの中から選択肢を選んでいって、注文するイメージに近いです。

逆に言えば、「色々考えたりするの面倒くさいけど、ちゃんとした家は欲しい」という方にはピッタリな会社です。

実際に私が訪問させていただいた一条工務店で建てた方の奥様に、一条を選んだ決め手を聞いた時にも

「家づくりっていろんなこと考えたり決めないといけないから大変だけど、一条の場合は、選択肢を提示してくれるので分かりやすくてよかった。私の場合は一から全部自分で決めて家を建てなきゃいけないのは苦痛で無理だったと思う」

とおっしゃっていて「なるほど」と思いました。

それでもその奥様にとっては大変満足をされていて、キッチンも御影石という高級な石を使うオプションを選択されていて、「これがとっても気に入っています」と仰っていたので、この奥様にとっては一条工務店は良い選択だったわけです。

床暖房の是非

一条工務店の大きな特徴の一つが、全館床暖房が標準仕様であることです。

確かに床暖房には、輻射熱で足元から暖かくなる、埃を巻き上げないといった特長があります。

しかし、全館床暖房を選択する際は以下の点を考慮すべきです。

①光熱費は安くない

いくら一条工務店が高気密高断熱とはいえ、床暖房はワンシーズンずっとつけっぱなしになりますので、安くはありません。私が聞いた限りでは冬のひと月の電気代が15,000円~20,000円を超える月もあるくらい電気代がかかります。

②エアコンでは不足か?

高気密高断熱住宅を前提とした場合、エアコンでは足元が冷たくてつらい状況になるのでしょうか。
答えは否です。

現に私に家は冬場もエアコンは間欠運転(必要な時しかつけない)ですので夜寝る際には暖房は消すのですが、翌朝も外が0度前後でも、室内は18度~22度を保っています。もちろんトイレや玄関も含めてほぼ家じゅうの温度は一定で寒暖差もありません。

床材に無垢床(パイン材の浮造り)を使っていることもあるかもしれませんが、特に足元が冷たくてつらいということもありません。

③「健康」とともに「健全」を考えてみる

もちろん無垢床だからと言って、床が暖かくはありません。冷たくてつらいということもありませんが、冬の床を素足で歩けば多少は冷たさも感じます。

でも、冬に若干の冷たさを足の裏で感じることって健全だと思いませんか?
そうやって身体の色々な場所から季節を感じて、季節に身体が少しずつ順応していく。そうした体の環境への適応力を発揮させていく環境の方が、むしろ健康に配慮した住宅ではないかと私は思います。

私が一条工務店を選ばなかった理由

①費用の高さ

性能は申し分ないですし、メンテナンスコストも比較的安く抑えられるとはいえ、坪単価80万円~90万円ほどと、やはり値段はそこそこします。

②自由度の低さ

私の場合、防音室を作りたいなどの要望がありましたが、それを営業さんに伝えても、設計図面の間取りにも、見積もりにも全く反映してもらえず、つくづくイレギュラーな案件への対応力が感じられませんでした。
そうしたやり取りから、「この会社では今後も細かい希望や要望などはあんまり叶えることが難しいのだろうな」と思いました。

③納期と金額の不透明さ

一条工務店は売り上げが好調のようで、とにかく強気です。
・一切値段交渉には応じません。
・「資材が高騰していて今申し込まないと来月には値上がりします」の連発
・納期も「今は建築スケジュールの空きがないので、今申し込んでも着工は数か月先にしかできません。来月は空きがあるかわかりません」
といったことで、とにかく早く仮申し込み、そして本申し込みをするように迫ってきます。

【総評】

一条工務店が合うか合わないかのポイントは、家づくりがしたいのか、家を買いたいのかです。

注文住宅を通して、家づくりがしたい方には、正直向かないでしょう。高気密高断熱住宅を建てている工務店さんに頼む方が、恐らく満足のいく結果が得られると思います。

単に建てたい土地に高性能な家を買いたいであれば、一条工務店は良い選択になるでしょう。

どちらにしても、これから注文住宅のこと、家づくりのことについて勉強をされる方は、一条工務店の住宅展示場に行くとよいでしょう。できれば一日体験バスツアーに家族で参加することもお勧めします。
普通に1日旅行に行った感覚で楽しめますし、住宅の性能のことについてよい勉強になります。
バスツアーに行ったからといって、営業さんも慣れていますか断りづらいということも特にないです。

以上です。一条工務店は最後まで候補に入れて悩んでいたこともあって、だいぶ長くなってしまいました。
ハウスメーカー工務店選びの参考になりましたら幸いです。