オーナー視点の注文住宅おすすめ情報

工務店で新築注文住宅(マイホーム)を建てる上20社以上のハウスメーカー、工務店を見て回ったり、100時間以上かけて学んだ建築知識や体験談を綴るブログ

断熱性能はどのくらい必要か

注文住宅で新築を建てるためにハウスメーカー工務店を回っていると、たいていの場合はじめに聞かされるワードは「○○工法」とか、「耐震等級」などですが、もう少し調べていくと、「断熱性能」というワードに行きつきます。


でもこの断熱性能については、ハウスメーカーごとに「このくらいで十分です」の基準がバラバラで、何を信じてよいやら分からなくなっているオーナーさんも多いと思います。



例えばローコストメーカー大手のタマホームに行った際には

うちは国が定める最高の断熱等級である、断熱等級4の断熱性能を持っているので断熱性も十分です

と言われました。


一方、高気密高断熱を謳っているハウスメーカー工務店の意見を聞くと

世界的に見ると日本の断熱基準は非常に低く、断熱等級4の断熱性能では不十分です。

と言われます。

初めて家を建てる素人施主としては、建築費用にも影響するし、何をどこまで信じてよいやら分からなくなってしまいました。。



そんな中、1人の素人施主としてどう考えてどう決めたのかをお伝えします。

結論

多くのハウスメーカー工務店の話しを聞いたり、色々な情報を調べた
結論から書きます。

より快適で、健康的で長持ちする家にするためには、今の日本の断熱基準の約2倍程度の断熱性能である、HEAT20という住宅の断熱について検討する団体が定める「G2グレード」という断熱性能を目指すべきと考えます。


実は先進国である日本は断熱性能に関してはかなり遅れていて、ほとんどの住宅は世界基準で見ると、断熱性能は全然足りていません。



断熱性能?
HEAT20って?
G2グレードって?
と急に色々な単語が出てきましたが、この辺りも分かりやすく解説します。



温かい家


断熱性能ってなに?

断熱性能とは簡単に言うと、断熱材というもので家の床、壁、天井を覆って、熱が逃げにくく、入りにくくする性能の事です。

断熱性能が高いと、夏は外の暑い熱が入りにくく家の中が涼しく保たれて、冬は寒い空気が入りにくくて温かい家になります。

断熱性能はどうやって測るの?

窓や断熱材などの熱の通しやすさを計算して表します。
昔はQ値という数字を使っていたようですが、現在はUA値という数字で表すことが主流になっています。


UA値はその建物の熱の伝わりやすさを表しているので、UA地が高い=熱が伝わりやすい=断熱性能が低いということを表しています。


なので、少し分かりにくいですが、UA値は低ければ低いほど断熱性能が高いということです。

日本の断熱基準

断熱基準は断熱等級という形で存在します。

断熱等級は、その土地の気温ごとに1地域から8地域まで分かれていて、以下の図のように分かれています。

断熱性能の地域区分早見表
参照URL:https://www.achilles.jp/product/construction/insulation/knowledge/chiikikubun/

ちなみに東京23区は6地域に属するため、断熱基準について語られる場合は6地域を議論の際の基準において語られることが多いです。

この記事でも6地域を基準にお伝えしていきます。


そして以下が地域ごとの断熱基準です。

断熱基準
参照URL(P26抜粋):https://www.jsma.or.jp/Portals/0/images/eco/pdf/h28koushuukai.pdf


より詳細な地域区分を確認される場合は以下の国土交通省発表のサイトのP31以降をご確認ください↓
https://www.mlit.go.jp/common/001034361.pdf

断熱基準の意味

ちなみに上記の断熱基準は日本では断熱等級4となり、国が公式に定める断熱等級としては一番高い基準です。


そのため、上記の断熱基準をクリアしているハウスメーカー工務店は「最高等級の断熱性能!」とか謳っている会社もあります。



ただ、この断熱基準ですが、特にこの基準をクリアしていなかったからといって、罰則があるわけでも家が建てられなくなるわけでもありません。

単純に「このくらいは目指しましょう」といった程度の基準になっていますので、ハウスメーカー工務店によっては、この基準すらクリアしていない会社もあります。


断熱性能基準については、何度も義務化の動きがあったようですが、その度に義務化は頓挫しているようです。
恐らくですが、断熱基準をクリアできない工務店ハウスメーカーの反対によって義務化が進んでいないものと思われます。

日本の断熱基準をクリアしていれば問題ない家なのか?

断熱基準をクリアしただけでは不十分と考える理由は3つあります。
主にHEAT20という住宅の温熱や結露などに関する専門家やメーカーなどの有識者が集まって、住宅の断熱基準を検討する団体が以下しているこちらの資料のP.16をもとに解説します

①暑くて寒い

資料では、冬の一番気温が低くなる際のLDの最低温度が示されていますが、断熱等級4という現在の断熱基準では室温が8度まで落ちることが想定されています。
当然夏も外気の影響により暑くなりやすいことを示しています。

②暖房効率が悪い

断熱基準の断熱性能では、HEAT20が推奨するG2グレードという断熱性能と比べると、暖房効率が2倍悪いことが示されています。

暖房効率が悪いという事は、単に「電気代が高くなる」という事だけではなく、あっためてもあっためても寒い(温かくならない)ことを表していますので住み心地に大きく影響を与えます。

③結露を起こす可能性が高く、カビの発生リスクや構造が痛む可能性が高い

ここが最も重要な点です。

中学校、高校辺りで、飽和水蒸気量というのを習ったかもしれませんが、要は空気は温かいと水分を多く含むことができて、冷たいと少ししか水分を含むことができないという事です。


そのため、暖かい空気中に多く含まれる水分が、冷たいものに触れると飽和水蒸気量が低くなり、結露することになります。

下記が気体が液体に変わる露点温度を示した表ですが、この表を見ると、冬に一般的な気温20度~24度、湿度50%の場合、13度以下になった場合に結露を起こすことが分かります。

露点温度
参照URL:http://www.ecoq21.jp/ecoheart/cat04/ecoheart04-3.html


HEAT20のG2グレードの場合、一番寒い時間の一番寒い個所ででも13度を下回らないことを基準に考えられた基準の為、結露リスクが低くなります。
※HEAT20パンフレットより参照


結露リスクが低くなるという事は、https://chumonjutaku.hatenadiary.com/#%E6%B0%97%E5%AF%86%E6%80%A7%E3%81%8C%E4%BD%8E%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%9F%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%93%E3%82%8D%E3%81%AB%E7%B5%90%E9%9C%B2%E3%81%8C%E7%94%9F%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%82%8B:title=以前の記事]でも書きました通り、結露がカビを生み、カビを食べるダニが発生することになりますので、シックハウスアトピーなどの健康リスクが高くなりますし、壁の隙間に結露した水分が溜まることで構造材を痛めてしまい建物の寿命を短くしてしまう原因になります。

コストの問題

断熱性能は上げれば上げるほど良いのですが、断熱材をたくさん使うことは当然ながらコストアップにつながります。
私が調べた限りでは、HEAT20のG2グレードであるUA値0.46前後までであれば、コストアップは数十万円程度で済みます。

しかし、さらに高断熱をしようとすると、付加断熱と言って、家の内壁側にも、外壁側にも両方断熱材を入れることになり、施工費用も断熱材の材料費用も高額になってしまいます。

その為、費用対効果を考えた場合にはG2グレード程度がコストパフォーマンスは最も良いと思います。


HEAT20の G2グレードの家に住んでいる感想

我が家は6地域にあり、UA値は0.47ですので、ほぼG2グレードです(恐らく窓を急遽追加で付けなくてはならなくなったこともあり、0.01超えてしまった。。。)。


G2グレードの断熱性能の家に住んでいる感想ですがかなり快適です。
まず、家のどこでも温度がほぼ一定です。
それは玄関も、脱衣場でも、トイレも例外なく外気温が10度以下の冬でも寒い思いをしません。

ちなみに我が家は冬はほぼ一階のリビングにある14畳用エアコン一台で過ごしていますが、2階も含めてだいたい20度程度はキープできています。




本日は断熱性能について我が家の体験も含めて書かせていただきました。
ではでは今日はこの辺で。
ではでは。